• ビットコインは19日、米国のインフレ指標と日銀の利上げを受けて8万4390ドルまで下落した後、8万7800ドルまで反発した。
  • ビットコイン現物ETFは1億6130万ドルの純流出を記録し、なかでもフィデリティのFBTCが1億7000万ドルの流出となった。
  • シティは1年後の目標価格を14万3000ドルに引き下げ、フィデリティのアナリストは2026年の底値が6万5000ドルになる可能性があると述べた。

マクロ要因で一時8万4000ドル台まで下落、9万ドルを下回る展開続く

ビットコイン(BTC)は今週、心理的節目の9万ドルを上回る水準を維持できなかった。18日、米国のインフレ指標と日本銀行による利上げがリスク資産を揺さぶり、ビットコインは一時、週安値8万4390ドル付近まで下落した。

直近2営業日で月間安値を更新した後、18日には久々の一服感が見られた。当記事執筆時点でビットコインは約2%上昇し、8万7400ドルまで回復した。

alt 〈ビットコインETFは1億6130万ドルの資金流出|FarsideInvestors〉

価格が安定する一方で、機関投資家のポジショニングは引き続き、重しとなった。FarsideInvestorsのデータによると、18日、ビットコイン現物ETFは合計で約1億6100万ドルの純流出を記録。フィデリティのFBTCが1億7000万ドルの流出となり、ブラックロックは3800万ドルの唯一の流入を記録した。機関投資家の方向感の不透明さが浮き彫りとなっている。

alt 〈ビットコイン清算マップ|Coinglass〉

一方、最近の清算の連鎖の影響が一巡するなか、強気の投機的トレーダーが市場に戻りつつある。Coinglassの清算マップによると、日中ベースでビットコインのロングポジションがショートポジションを上回った。

ロングポジションは22億ドルに達し、15億ドル規模のショートを大きく上回った。大幅な市場下落後にロングがショートを上回る状況は、底打ち形成のサインとされることが多い。

直近の弱気な清算イベントの影響が和らぐなか、ETFからの資金流出という逆風にもかかわらず、ビットコインは8万7200ドルを上回る水準へと反発した。ただし、週末に向けて流動性は低下すると見込まれ、展開は不透明だ。

ノルウェー空港でのライトニング決済導入がセンチメントを下支え

ヨーロッパからのニュースも、日中のセンチメントを押し上げた。オスロ空港の免税店を運営するTravel Retail Norway(トラベル・リテール・ノルウェー:TRN)は、到着時の「Click & Collect」サービスにビットコイン決済を導入した。

18日の公式リリースでTRNは、顧客がオンラインで注文し、受け取り時にビットコインを選択、ライトニングネットワークのQRコードをスキャンして、ノルウェークローネ(NOK)で即時決済可能と述べた。追加手数料は不要で、ノルウェーの規制にも完全に準拠しているという。

TRNの副CEOであるHaakon Dagestad(ホーコン・ダゲスタッド)氏は、ビットコイン決済はデジタル通貨を好む顧客に柔軟性を提供すると述べた。同氏はこの取り組みを、ノルウェー全土でより幅広いデジタル決済手段を展開するための第一歩と位置付けている。

一方、アナリストの見通しは今後12カ月に向けて慎重姿勢を強めている。Citi Research(シティ・リサーチ)は、12カ月先のビットコイン目標価格を18万1000ドルから14万3000ドルに引き下げた。フィデリティでマクロ戦略を統括するJurrien Timmer(ジュリアン・ティマー)氏は、2026年に6万5000ドル付近が底値となる可能性を示唆し、足元の調整がまだ続く可能性を指摘した。

今週のビットコイン価格は、国家レベルでの前向きな動きと、機関投資家の継続的な資金流出という弱気材料の間で板挟みとなった。ビットコインが9万ドルを明確に回復するまでは、トレーダーの関心は上値追いよりも下値リスクに注目しているようだ。

ビットコイン価格見通し:9万ドルを回復できるか、週足の上昇ウェッジ崩れで8万2900ドルまで下落するか

週足チャートにおけるテクニカルシグナルは、9万ドルを下回る長期のもみ合いを受け、引き続き防御的な傾向を示している。直近の下落は、上昇ウェッジパターンからのブレイクダウンと一致しており、この形状は支持線が崩れると、より深い調整につながりやすい。

下図の通り、ビットコインは現在、主要な上値抵抗帯の下で取引されており、戻り局面では新たな売りにさらされやすい。週足ボリンジャーバンドのミッドラインは10万6350ドル付近に位置しており、価格が平均的なトレンド水準から大きく乖離していることを示している。

下値のサポートは、ボリンジャーバンド下限である8万2900ドル付近に集まりつつある。この水準は、週中に記録した8万4390ドルの下落ゾーンに近く、最初に注目すべき主要サポートとなる。

alt 〈ビットコイン(BTC)のテクニカル分析|TradingView〉

ビットコインが週足終値で8万2900ドルを明確に割り込んだ場合、下落が加速する可能性がある。その場合、8万ドルの節目が視野に入り、モメンタムが弱いままであれば、7万ドル半ばまで下値余地が広がる。

モメンタム指標も警戒感を示している。週足MACDは弱気圏での下落を深めており、大局的なトレンドがまだリセットされていないことを示唆している。

強気への転換には、段階的に2つの条件が必要となる。第一に、ビットコインが9万ドルを回復し、その水準をサポートとして維持すること。第二には、9万6000ドルから10万ドルにかけて上昇し、ウェッジ崩れのシグナルを弱めるだけのフォロースルーが求められる。

弱気シナリオの否定は、ビットコインが10万ドルを回復し、週足でその水準を維持した場合に強まる。それが実現しない限り、年末に向けて市場はさらなる調整リスクにさらされた状態が続き、短期的なラインは8万2900ドル、より長期のリスク水準としては2026年に向けた6万5000ドルが意識されることになる。

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