JPYC代表取締役の岡部典孝氏は12日、ニューズピックスが配信するニュース番組「HORIE ONE」に出演した。堀江貴文(ホリエモン)氏との対談で、日本円連動のステーブルコイン「JPYC」が経済や決済の構造をどのように変えていくかについて展望を語った。
JPYCはブロックチェーン技術を活用しながらも、法律上はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)とは異なる。常に1JPYC=1円として扱えるため税務会計がシンプルになる点が最大の特徴で、岡部氏は「人間にとってすごく使いやすいデジタルマネー」と表現している。
岡部氏は、世界で最初にステーブルコインに関する法律を整備したのは日本だと述べ、その背景には2つの要因があると説明する。メタ(旧Facebook)の独自通貨「リブラ」構想と、JPYCが2021年にプリペイドとしてサービスを開始したことが規制当局を動かし、結果としてアメリカより3年早く法整備が完了したと強調した。
岡部氏によると、世界市場では米ドル連動のテザー(USDT)が6〜7割のシェアを握り、昨年の利益は約2兆円に上るという。堀江氏もテザーについて「国債で運用してたりとかするの?」と関心を示し、岡部氏が米国債での運用益がベースになっていると説明する場面もみられた。
岡部氏によると、JPYCは手数料を一切徴収せず、国債や信託銀行経由の預金による運用益(発行残高の約1%弱)が主な収益源だという。同氏は「1000億円流通してやっと10億円入る商売」と率直に語り、現在は赤字のスタートアップであることを明かした。
堀江氏は「金利は上昇局面にあるから、従来よりは利益は上げやすいですよね」と補足し、収益環境の改善に前向きな見方を示した。現在は赤字のスタートアップながら、事業の方向性には理解を示した形だ。
JPYCは発行体の許可なく誰でも決済に利用できる点もあり、すでにJPYC払いで送料無料や2%割引を提供する店舗が登場し始めている。給与支払いへの活用も可能で、労働組合の合意があれば金額の上限なく支払えると岡部氏は説明している。
また、銀行が発行を計画するステーブルコインが大企業向け海外送金の実験段階にとどまる中、JPYCはすでにグローバルで実稼働している点も大きな強みだと岡部氏は強調している。即日着金により為替変動のリスクも抑えられるとして、岡部氏と堀江氏はともに「ないと困る」と法人利用におけるメリットを強調した。
今後の普及について岡部氏は、AIエージェントが自律的にステーブルコインを使い始めることで拡大が加速するとの見方を示している。同氏はJPYC社が決済時に請求書をNFTで自動送付する基本特許も保有している点を強調し、堀江氏も「エージェントが自動でお金のやり取りをしてくれる社会は楽」と自動決済社会の到来に期待を示した。
一方、岡部氏は現在、SNS上での論争でも注目を集めている。溝口勇児氏が率いるノーボーダーDAOが発行した「サナエトークン」をめぐって岡部氏は5日、「なぜ10億枚で発行したのか。100万枚未満であれば暗号資産該当性をかなり薄められたはずだ」と専門的見地から問題を指摘した。
その後、溝口氏は人格攻撃を含む反発を連発。岡部氏はサナエトークンの影響でJPYCまで暗号資産扱いされ風評被害を受けているとして強い不満を表明し、JPYCが金融庁から正式に電子決済手段として認可を受けた合法的な円ステーブルコインであることを改めて強調している。
関連:メタプラネット、JPYCに最大4億円投資──日米に子会社を設立
関連:アステリア、JPYC企業向け管理基盤を4月提供──送金1件8円で財務DXを加速


